12月9・10・11日

・12月9日。金曜日。夕方、知人からチケットを譲つてもらつて、恵比寿・エコー劇場で英国の劇作家サイモン・スティーブンスの『ポルノグラフィ』。ロンドン・オリンピックの開催が決定した日を描いた群像劇である。すつかり忘れてしまつてゐたのだが、この日(2005年7月7日)は英国人にとつて、「忘れることのできない日」となつた。「同時爆破事件」が起こつたからである。この作品は、それをいくつかの景(タブロー)で――テロリストの内省も含めて――断片的に描く。基本的には、役者に演技を要求する芝居であるはずだが、演出家は完全にそこを放棄してゐて、「わかりにくい」作品になつてしまつてゐたと思ふ(とくに最初と最後は全然わからなかつた)。水をまき散らすイメージもかなり独りよがりな印象を受けた。終演後、知人を介してイギリスに詳しい方たちと駅前のパブで飲んで、帰宅。

☆胃の痛くなる芝居見し漱石忌

・12月10日。土曜日。午後から神保町にて句会。兼題は「冬館」と「羽子板市」で、50名以上が参加。選句するだけでも一苦労である。この句会に参加するのはまだ2回目なので、雰囲気に呑まれている感じがする。普段やさしい人も、とても怖い人に見える。明らかに「ぴりぴり」してゐる。かなりやばい感じだ。サッカーに喩えるならば、この雰囲気は「シュート練習」に似てゐる。中央ではたかれたボールを(できればダイレクトで)ひたすらゴール隅に狙ふ。絶対にふかしてはならない。しかし、ふかしてはならないと思うとキーパーの正面にいつてしまふ。さういふものである。今日は5本中4本をふかした。しかもインサイドで。踏み込みが弱いのかなあ。

☆冬ざれのグランドの土堅きこと

・12月11日。日曜日。父親が上京してきてゐるので、例年の行事として、阿佐ヶ谷でうなぎを食す(父は、年末になると東京に遊びにくる習性をもつてゐるのである)。近況報告などして帰宅。明日締切の原稿を書きはじめる。一度書いた原稿の手直しなので甘く見ていたら、いま読み返してみても、全然面白くない。といふか、これを書いてゐる人間が一体何を言ひたいのか、わからない。こいつは困つた。とりあへず、気持ちを落ち着かせるために、クラブワールドカップ柏レイソルモンテレイをテレビ観戦。1-1でPK戦の末、柏の勝利! 落ち着くどころか、盛り上がつてしまつた。

☆東京に父来て雪はまだといふ