8月18・19・20日

・8月18日。水曜日。甲子園準々決勝。結果から言えば、歳内も島袋もいまひとつだった。仕方ない。中1日、あるいは2日でこの暑い中やっていること自体、奇跡的なことなのだ。俺だったらおそらく5分でバテている。いや、おそらく試合前のアップでバテているかもしれない。ウォーミング・アップ・アンド・ダウン。つまりバタンQだ。流行のことばを使えば、熱中症ということになるのかもしれない。
アウトローに投げ勝ってきた投手二人の球が、ことごとくインハイ(←極限すれば、だが)にいってしまうのは、どういうわけなのだろう。熱中症の予兆だったのだろうか。アウトローに生きるということは、やはりむずかしいと、そういうことなのだろうか。いずれにしても、二人のピッチャーは、相手バッターにうちごろの球をことごとく供給していたように見えた。無論、本意ではないだろうが。
パキン、カキンと品のない(←そういうふうに、私には聴こえる)金属音を奏で始めると、高校野球はもうだめだ(高校野球のダイジェストは苦手である)。ただでさえ、スタンドから届くオリジナリティーのないバンド演奏が、堪え難いわけだし。右ピッチャーが投げているのに、ピンクレディーの「サウスポー」が演奏されていることは、毎年よくあることだ。そういうなかでローに投げ続けるというのは、もしかすると、想像する以上に、難しいことなのかもしれない。
うむ。選抜優勝校は強かった。島袋もよいが、我如古もよかった。そういうことなのだと思う。

・8月19日。木曜日。戸田恵梨香は、仕事を選んだほうがいい。某カードローンのCMでは、新入社員という設定で、上司(阿部寛)から言われた通りに、会社の名前を(必死に諳んじようと)反復する。そのあとの阿部ちゃんの「グッジョブ!」というのもわけわかめだが、戸田恵梨香がこのCMで失うもののほうが遥かに大きいのではないかと思ったのは、わたしだけではないはずだ。たぶん。

・8月20日。金曜日。午後から友人のお誘いで新橋演舞場で歌舞伎を見せていただく。前半の「暗闇の丑松」(長谷川伸)は橋之助福助獅童だが、装置も演技もあまりに「立派」すぎて、これはどうにならぬものか……と思う。場面転換に時間がかかるので、2、3分待たされるところが4回くらいあるのは論外だし、暗転の仕方も不思議だ。これがどう回り回って「名作」という評価を受けているのか、もう少し納得のいく説明をしていただきたい。昔は名作だったのかもしれないが、今も同じ理屈が通るのかどうか。
後半は、福助の「娘道成寺」。歌舞伎舞踊についてはずぶずぶの素人だが、全体としては丁寧というか、必死に枠からはみ出さないようにしているような印象を受けた(印象になってしまうので、詳しくは専門家に任せる)。ただ、フェティッシュなことを言えば、序盤の指の使い方はとても艶かしく、けっこうドキドキしたし、1階と3階では見えているものが違うというのは、予想こそしていたが予想以上だった。(こんなにいい席で見る機会をくれたHくん、ありがとう。)
夜は渋谷にて同級生Sの送別会。なにやら所用があって1年間ほどベルリンにいくというらしく、気をつけて行ってきてほしいと思う。