7月9・10・11日

・7月9日。土曜日。暑い。午後から神奈川芸術劇場にて「スウィーニー・トッド」を見る。またしても宮本亜門大竹しのぶという女優は「声の」女優だということを痛感。ただし、ミュージカルという上演形態の存在意義がいまだわからず、前半のみにて退散することに。しかし、せっかく横浜に来たので、馬車道駅付近を歩いていて見つけた台湾料理屋さん「五味香」に入り、チャーハンに瓶ビールをいただく。うまい。今更ながら、現代思想(←むずかしくて、普段は読まないのだけど)の震災50冊、あれはいい企画でした。

・7月10日。日曜日。暑い。今日も午後から神奈川芸術劇場浄瑠璃をくずし字で読むというレクチャー。いかにこれまでの浄瑠璃研究がいい加減であったかよくわかるし、「何故いまこれを上演するのか」という理由が、見事なまでに正当である。「研究というのは小さなことの積み重ねでしかない」と謙遜していたが、「消えてしまったもの」を再構成するには、「小さなことを積み重ね」て帰納的に考えていくほかないのであって、これまた正当である。そして何より、研究の現場と実践の現場が乖離していない(=アプローチが違えど、目指すべきは同じ)ことが正当であるように思われ、新宿で太肉麺を食して帰宅する。

・7月11日。月曜日。暑い。夕食にはもずくと大根の酢の物。さっぱり。遅ればせながら、武田徹の『原発報道とメディア』を読む。実にいろいろと考えさせられる本である。薄々は勘づいていたけれど、最終的には「歪み合っている両者が、どのように相手を尊重するか」というごくごく当たり前の話になるのかもしれない……冒頭に書かれている戦後の〈光〉と〈闇〉という両面性のロジックは、一見すると真理をついているあたりが、恐ろしいところ。自宅にてビール2缶。