10月28・29・30日

・10月28日。金曜日。夕方から句会。兼題は「茸」と「不知火」。不知火といふのは、九州の八代海有明海で、9月頃に見ることのできる蜃気楼のやうな現象のことを言ふ。「神の留守」や、冬の季語の「狐火」とかもさうだけど、言ふなれば浪漫主義・象徴主義的な雰囲気の季語の扱ひは、むつかしい。ただし、虚子的な自然主義写実主義的な日常性をベースにしてゐると、やや詠みにくいといふだけの話である。文学史が教へてくれるのは、両者は決して対立するものではないといふことだらう。科学と神秘は、紙一重。倫理は宗教(物語、フィクション)と切り離すことができない。句会後に「たましひの女」より、先日の俳句大会で貰つた酒をふるまつてもらふ。

☆たましひの女より受く新酒かな

・10月29日。土曜日。午後から大学院の同級生Mの結婚式のため、お茶の水の「山の上ホテル」へ向かふ。受付を頼まれてゐたのに、すつかり時間を勘違ひしてゐて、Dに任せつきりにしてしまつた。申し訳ない。会場にて、ドイツ留学から帰つてきたSと、来年2月に結婚するといふMにもひさしぶりに再会。主役のMも、よくよく考へてみれば、修士過程を修了して以来である。とてもいい結婚式だつた。まづ、挙式からあれほど笑ひを誘ふことは、常人にはできない。それもこれも、持ち前の「不真面目さ」によるものだと思ふ。不真面目万歳! 2次会がないといふのも、よかつた。15時すぎにはお開きとなつたので、Dと秋葉原で「カオス*エグザイル」を見て、憤慨して、そして帰宅。

☆不まじめな友の挙式に小鳥来る

・10月30日。日曜日。午後から句会。思へば、初めて句会なるものに参加したのは、去年の10月のことだつた。あれから1年。お祝ひといふわけではないのであらうが、今日は10人以上の参加があつて(普段は5〜6人)、何だか言祝ぎされた気分であつた。自分の句は駄目だつたんですけどね。夕方から神保町に移動して、大学の同級生の結婚パーティに顔を出す。大学1年から付き合つてゐるという事実は知つてはいたが、よくやるなあと思ふ。さういふ事実が「運命の出会ひ」を帰納的に導くんだらうね。流動的な近代社会における反-資本主義的な理想郷である。

☆神留守となりて歳時記一周す