7月28・29日

・7月28日。水曜日。本日も蟄居。最近見たい芝居がとんと減って、それはそれでいいことなのだが、こうも時間があると落ち着かない。おいおい、勉強しろよ。しかし、原稿も遅々として進まず。外気温の上昇と見事なまでに反比例して作業能率が落ちていくというのは、夏の風物詩なのだとして受けとめることにしよう。
ともあれ「劇場が遠い」ので、吉祥寺に映画を見にいくことにした。『告白』。原作はミステリと聞いてたのに、映画は完全に勧善懲悪エンターテイメントで、笑いながら見た(けれど、映画館では誰も笑わないのがこわい)。でも、やっぱラストのCGシーンは苦手だ。CGだというそれだけの理由で苦手である。あそこは、黒田育世のダンスが見たいところだね。
松たか子もいいんだけど、お話がかなり図式的なので(=「正義」と「愛」と失った女の話なので)、結局中島哲也の演出に助けられているところが多いというのが、いちばんのポイントだろう。なので、この映画を見て「物語、あるいはドラマトゥルギーが全然だめ」というのは、少々的外れな気はする。でもCGは苦手だ。バーチャファイターもやったことがない。
晩ごはんには自宅にて、カツオのタタキとごま豆腐と缶ビール1本。

・7月29日。木曜日。午前中から出動。面接試験における和やかさは、けっして評価とは関係がないと思うが、こちらのミスをいろいろフォローしていただいて助かった。雨だったし、なんだかどっとつかれたので、帰宅して昼寝。小林政弘の「バッシング」(2005)をDVDで見る。「自己責任」ブームの火付け役、イラクで人質になった高遠さんの帰国後を描いた映画である。
占部房子の演技がすごく「ねっとり」していて、とても嫌な気分になる。そのせいで(仮にドキュメンタリータッチだとしても)「わたしたちこんなひどい目にあっています」という自意識の映画に見えてしまう。ふと冷静になって考えてみると、ただ「それ」だけで「こんなに」酷い目にあっているのが事実なら、本当に悲惨すぎるが、フィクション性が際立ってしまい、その悲惨さが宙づりになってしまうのである。
晩ごはんは自宅にて、豚肉とオクラの夏カレーに缶ビール1本。