11月4・5・6日

・11月4日。木曜日。午後から出動したが、途中から昨日の公演についての議論となって、そのままタイムアップ。ただし、そういう見方もあるのねと唸らされたところも多々あり、改めてPさんは「批評する」と「愛する」が一致する人なんだな、と思ってちょっと嬉しくなった。「愛する」ばかりで「批評する」が疎かになる人というのはたくさんいて、「批評する」ばかりで「愛する」が欠落している人というのもやっぱりたくさんいて、そういう状況はたぶんどこの国でもいつの時代でも同じなのかもしれぬ。夜は、F国からやってきた芸人(漫談家)のトーク・セッション。われわれに必要なのは悪意だと感じ、先程の良心的な思いが見事に打ち消された。

☆柚子を目に絞りてみては罰ゲイム

・11月5日。金曜日。仕事を終えて、夜は座・高円寺にて「長屋紳士録」を観る。40人以上の劇団員が出ているというのだけでもおかしいが、小津の映画をこういうふうに舞台化してしまうのが、もっとおかしい。最前列だったということもあって、演技の細かな部分までよく見えたので、痛快に笑った、笑った。「長屋紳士録」のほか、「麦秋」と「風の中の牝鶏」と「お早よう」が所々でコラージュされているのだが、それはたんなる時間引き延ばしの口実というよりも、演技や物語の厚みにおける「しかけ」となっているように思うのだが、笑ってばかりいたので、実はよく覚えていなかったりもする。駅前でラーメン食べて帰宅。

☆まず焼きてカマンベールに柚子ひとつ

・11月6日。土曜。午後からさいたま芸術劇場にケースマイケル、ジェローム・ベル、イクトゥスによる「三つの別れ」を見に出かける。こういう作品を観ても、作品の周辺にいる人たちは憤慨できないから哀れだ。帰り道で一緒になったHくんも似たような感想をおもちだったようで、一安心。さんざん迷った果てに、帰り道に高円寺で途中下車して「長屋紳士録」を観る。まさか二日連続で観ることになるとは思わなかったが、おそらく咄嗟の判断で下車して観てしまうという人がほかにはきっといないだろうから、こればかりは抗えない。昨日とはうってかわってつまらなかったが、打って変わってつまらなくなるというのが、どうにも愉快だ。

☆冬あたたか大劇団の父母あれば