9月7・8・9日

・9月7日。水曜日。完全オフである。まだ腰が痛いので、部屋でDVDでも見ることにする。あまり頭を使ひたくないので、『悪人』といふ映画を選ぶ。妻夫木聡深津絵里といふ組み合はせにそれほど引かれなかつたのだけれど(二人とも野田地図で見たことがある)、いまひとつだつた。図式的に言へば「共同体崩壊→感情崩壊→事件」といふ因果関係を根拠にして、まづ「佐賀の田舎」と「福岡の都会」といふパラレルワールドがあり、「佐賀の田舎の男」(妻夫木)が「福岡の都会の女」(満島ひかり)に関係性を求めた結果(半ば偶発的に)殺してしまつて「佐賀の田舎の女」(深津絵里)と逃避行するけれど、やつぱり関係性を構築できないといふ筋である。さう考へると、殺された「福岡の都会の女の父親」(柄本明)が、娘を山に置き去りにした(殺される原因をつくつた)「福岡の都会の男」(岡田将生)に説教にいくのは完全に副筋なわけで「誰が悪か」といふ問いには実は答えが出てしまつてゐるのである。「都会的なもの」が悪であると。といふやうなことはすでに誰かが言つてゐると思ふけれど、あまり天才肌の脚本家ではなく、かなり図式的に物事を考へるタイプの大衆作家なんでせう。まあ、たまにはかういふ映画を見るのもいいかなと思つた。

・9月8日。木曜日。今日もオフである。今週は空けやうと思えば水曜から日曜まで時間があつたので旅行にでも行かうかと思つてゐたのだが、ちよつと難しいかしらねえ。今日も部屋で翻訳などをしつつ、『ブーケガルニ』(2009)といふ映画を見た。週刊誌に書いた記事がきつかけで殺人事件を誘発したことがあるゴシップ記者が復讐されるといふ他愛もない話。あまりにつまらなかつたので、ふてくされて寝ることにした。

・9月9日。金曜日。緊急召集され午前中から出勤。資料作成など終へて、帰らうと思つてゐたら、知人から「今から神保町に来ませんか」の連絡。7時すぎに神保町のお店に到着し、NさんにK島さんといふ方(同業なので名前は知つてゐた)をご紹介いただく。少し話してみただけで、「さうさう、さうなんですよね」といふ話がぼろぼろ出て来る。楽しい夜だつた。少しだけのはずが、ビール1杯、シークワーサーサワー2杯、角ハイを3杯ほど。