9月13・14・15日

・9月13日。火曜日。通常業務。夕方から青山一丁目ゲーテ・インスティチュートにルネ・ポレシュの「あなたの瞳の奥を見抜きたい、人間社会にありがちな目くらましの関係」の記録映像鑑賞会。7月のリーディング公演は見てゐないけれど、再来週の来日公演に合はせて、ドイツの「最近の」演劇を見ておかうと思つてのこと。さういふ志もたまには大事。しかし、ヨーロッパだとこれが面白いのだらうけれど、日本でこれをやられてもなあという感じだつた(「タイトルからして刺激的」のやうなことを言ふ人がいるけれど、ねえ)。機材トラブルで途中何度か映像が止まつてしまふといふこともあり、ストレスフルな2時間だつたなあ。アフタートークは聞かずに神保町のお店へ。カウンターはIさんだけ。青春とともにあつた芝居の話など。帰つて翻訳を片付けやうと思つたが、寝てしまつた。

☆結局は夜食を食べて寝てしまふ

・9月14日。水曜日。午前中からやんごとなき会議。そのあとも打ち合はせが続き、思ひのほかに余裕がなく(ふつうの仕事だつたら当たり前の話だが)、翻訳が進められない。困つた。夜は下北沢にてがみ座の「空のハモニカ」という芝居を観にいく。金子みすずの伝記的作品である。といつても「美しい」みすずを描くのではない。確かに旦那は駄目な男なのだけれど、エゴイスティックである意味では「ふつう」のみすずである。入念に調べられてゐるし、自伝だから重厚だ。だからあの下北沢の100人程度の「小劇場」では勿体なかつた気もするが(代はりに衣裳や舞台の味はひを間近に捉へられた)、劇作家・長田の手柄としては、みすずの子供の人生を辿って、それをみすずの人生に副筋として並べて提示したことだらうね。実に、演劇的手法に自覚的な劇作家である。だから演出家(扇田拓也)は広い意味での「演技」に集中できる。役割分担がしつかりしてゐる。お互いが信頼しあつてゐる。いい芝居だつた。

・9月15日。木曜日。11時に起きる。結局、「当初の」締切日になつてしまつたのだが、何とか15時頃に作業を終へる。なにせ映画の字幕をつくる(埋め込む作業ではなく日本語字幕の文字数やバランスなどを調整する)のは初めてだつたので、予想以上に時間がかかつてしまつたのと、あとは腰痛に気を取られてゐて、あつと言ふ間に時間が経過してしまつた。せつかく休みをもらつたので(5連休である)、本当はとつくに仕事を終へて帰省する予定だつたのだが、福島に到着したのは夜の7時頃。東京もさうだが、まだ秋といふ感じではない。家で小皿料理をつまみながら、ヱビスの大瓶を1本ほど。